【2004-06-02 記】
【閲覧者の皆様へ】
いつも当サイトをご覧いただき感謝いたします。
また、最近は諸般の理由により更新が大変滞り、ご迷惑をおかけしております。
たいへん唐突ではありますが、このたび考えるところありまして、当サイトはサイト名を変更し、
移転することにいたしました。理由は以下の通りです(なお、更新が滞っていたのは移転のための
レンタルサーバ先の選定等の計画や、ページの再構築作業などのためもあります)。
当サイトを普段からご覧いただいている皆様、またブックマークされている方、リンクされている方には大変恐縮であり、 またご迷惑をおかけしますが、なにとぞご寛恕お願い申し上げます。 なお、移転後のサイト名及びURLは以下に記載致しました通りです。
サイト名: Arch-Type.net
URL: http://arch-type.net/ 又は http://www.arch-type.net/
リンク・ブックマーク等のご変更をお願い致します。旧サイト(COOL ONLINE内の各ページ)は、このまま遺しますが、 旧サイトの今後の更新は何らかの差し迫った事情のない限り行いませんので、ご了承下さい。
作成:2003/03/22 最終更新:2003/08/21
先日、「ロボットのひみつ」のレビューで、
あの「先行者」にも劣…ゲホッゴホッ、
「先行者」をも超越しうる壮絶なロボット、
(自称)世界初の電動ロボット テレボックスを紹介いたしました。
■テレボックス■
(「ロボットのひみつ」、学習研究社、藤木てるみ、37ページ)
+ そしてテレボックスの素晴らしい顔 +
![]()
(「ロボットのひみつ」、学習研究社、藤木てるみ、37ページ)
+ そして、ただでさえ適当なテレボックスの顔が
さらに適当に書き直されている漫画中のコマ +
![]()
(「ロボットのひみつ」、学習研究社、藤木てるみ、37ページ)
このテレボックスについて、衝撃的な追加情報…というより、ひみつシリーズでは触れられていない
裏話の情報をこの度教えて頂きましたので、ひみつシリーズとはあまり関係ないのですが
紹介したいと思います。
先日、A様(ご本人のご希望により名前は仮名とします。メール本文の引用許可はいただいています)と
いう方から、以下のような文面で始まるメールを頂戴しました。
突然のメール失礼致します。
ロボットのひみつを見て、大笑いをしたものです。ところでロボットのひみつにて、最初の電気ロボットtelevoxについて、言及されて
いますね。これが、なぜ電動ロボット第一号なのか?
これは、ひみつシリーズじゃたぶん書いていないだろう裏話があるのです。
実は、私も数ヶ月前まで知らなかったのですが、ある報告書を作成する際、
どうしても「最初のロボット」というのが調べなくてはいけなくて、都立図書館に
行って調べたらtelevoxがでてきました。(A様から高橋あてのメールより)
裏話…興味深いですよね。
「なんであのような板切れを貼り付けたような手足や顔で製作者は満足してたんだ?」と、
かねてから私も思っていましたので、A様の下さったメールにはいきなり引き付けられてしまいました。
(なお、勘のイイ方で、かつ「ロボットのひみつ」レビューをちゃんと読んでくださった方は
テレボックスのスペルが telebox ではなくて televox であることに疑問を抱かれたと思いますが、
それについては後で説明します)
A様のメールを引き続き引用します。
1927年、アメリカのある人がtelevoxというものを開発しました。
最初の発表の写真では、四角い箱の中にリレーがいっぱい入っていて、
電話から送られる笛の音で命令を判断し、電灯のスイッチを点けたり消したりする事
が出来ました。
つまり、電話でリモートできるリレーのお化けみたいなもんです。
もちろん、開発者はロボットなんて一言もいってません。だって、この年まで、現実
のロボット(=人造人間)は存在していないのですから。(A様から高橋あてのメールより)
この部分も、「ロボットのひみつ」しか読んでいなかった私には驚きでした。
…つまり、アレはロボットして開発されたのではなく、ただの通信制御関係の機械として
作られた物だったのです。
よくみると、はりぼての真ん中に四角い箱が見えますよね。これがもともとの
televoxです。(A様から高橋あてのメールより)
このページを読んでくださってる方、お手数ですが、テレボックスの姿をもう一度確認いただけますでしょうか。
(「(自称)世界初の電動ロボット テレボックス」←このリンクを押すと ページ先頭に戻れます)
…確かに、頭、手、足等は完全にただの板切れなのですが、箱状の胴体部分は機器(?)がいっぱい詰まって
機械のようになっており、この部分だけ他と不釣合いです。
…要するに、初めはこの箱だけだったんですね。
で、頭やらは完全に後から付け足したものだったというわけです。
![]()
〔高橋註:図中の赤の字等は説明のために付け加えたもので原文にはない。〕
(「ロボットのひみつ」、学習研究社、藤木てるみ、37ページ)
ガンダムのジオングは足が飾りでしたが、
こいつの場合頭も腕も足も全部飾りだったわけですね。納得しました。
では、単なる通信制御関係の機械であったテレボックスが、ロボットのような見かけに
なったのでしょうか。A様のメールを再び引用します。
さて、こいつの発表後、数週間後に発行されたとある新聞がtelevoxについて特集記
事を書きました。
見出しは「科学は機会人間を造る!」。
載せられているイラストは四角い箱のtelevoxに手がにょきっと生えて足が付きまして、
川の深さを測ったり、電灯を手で消していたりしています。
最後の方には「このtelevoxはチャペックのロボットに最も近い」とこう勘違い大爆発の
記事がご丁寧に書かれちゃったんですね。
記者の方は、大真面目で取材してきたんでしょうが、どうも技術には明るくなかった
人のようです。(A様から高橋あてのメールより)
どうやら、最初のテレボックス(さっき示したように箱型のただの機械)の上の部分の形が、
人間の顔を思わせるような形状だったため、新聞記者が勘違いしたようなのです。
これについては、その記事を引用したほうがわかりやすいかもしれません。
A様のご好意で この裏話が載っている本を教えていただきました。
「日本ロボット創世記1920〜1938」(井上春樹著 NTT出版、以下「日本ロボット創世記」と
略す)という本の、64ページからその記事を引用します。
![]()
〔高橋註:紙面の下のほうはトリミングした。〕
(「日本ロボット創世記」、井上春樹、NTT出版、64ページ)
記事下段の真中、大きな写真の中の機械が初期のテレボックスです。たしかに、
上の小さな箱に入っている機器の配置…特に小さな箱の真中より下に並んでいる部品が、
人間の口(歯並び?)のように見えなくもありません。
そして、上段には勘違い炸裂のイラストが4点。(なんで手が生えてるんだろう…)
A様の仰るとおり、記者がよく調べないで記事を書いてしまったようです。
この勘違いが元で、ただの機械であったテレボックスは、世間からロボットのように
認識されてしまったらしいのです。
(なお、「日本ロボット創世記」によると、
テレボックスのスペルは tele(遠隔)、+vox(ラテン語で「声」の意味)だそうです。
学研の「ロボットのひみつ」の解説は間違っていたようです)
再び、A様のメールを引用します。
困ったのは開発した人。「ああ、思いっきり勘違いしているな」と思ったのでしょうが
反響のあまりの大きさに、対応せざるを得ませんでした。
よって、翌年の発表会に出てきたtelevoxには、
四角い箱に手を付け顔をつけ(もちろんはりぼて)ピーという笛に合わせて
扇風機のスイッチやら電灯のオンオフをさせるデモしたわけです。
(中略)これに大ウケ。この瞬間からロボット=機械になるわけです。勘違いと周囲の期待から、ハリボテ君が生まれたというわけです。ちゃんちゃん。
(A様から高橋あてのメールより)
…そうなんですよ、テレボックスへの世間の期待が余りにも大きかったなどの理由で、
そのまま発表するわけに行かなくなり、やむなく(ハリボテの)手やら頭やらを機械につけ、
ロボットのような形で発表したようなのです。
やっぱりアレはロボットと呼んじゃいけなかったようです。
(…つーか、そういうのをロボットとして紹介していいんでしょうか)
一月二十七日付「ニューヨークタイムズ」には、「自動人間、依然として稼動中」との記事が掲載されている。 それによれば、テレヴォックスの反響は大きく、ウエンズレー自身、「三十五か国語の新聞の切り抜きや手紙を もらった。人造人間(synthetic creature)は私の生活を脅かしている」というほどであった。問い合わせや引き合いが 殺到しているということであろう。
〔高橋註:ウエンズレーとはテレボックスの開発者。この人については後ほど…〕
(「日本ロボット創世記」、井上春樹、NTT出版、70ページ)
上記引用のとおり、世間のテレボックスへの(誤った)期待は、かなり高かったようです。
では、まずロボット化された最初のテレボックス(「ロボットのひみつ」に載ってた奴よりも更に前のヤツ)を
ご覧下さい。
![]()
〔高橋註:写真の左部分はトリミングした。〕
(「日本ロボット創世記」、井上春樹、NTT出版、73ページ)
更に凄まじい状態になってます。
(…どうせなら「ニューヨークタイムズ」の記事どおりに作ってあげればよかったのに)
これが改良(?)されて、「ロボットのひみつ」に載っていた、
あの歯を剥き出しにしたヤツになったのでしょう。
(改良したところでデザインはどっちもどっちって気が…ゲホッゴホッ)
さきほどの引用文中にも出てきましたが、このテレボックスを開発したのは、ウエスチングハウス・
エレクトリック・アンド・マニュファクチャリング社の技師のウエンズレーという人です。
(これもA様の下さったメールで知りました)
このウエンズレーさんについて、紹介する価値があると思いますので、もう少しお付き合いください。
(といっても、経歴とかの小難しいことではなく、もっと即物的なことです)
またもやA様のメールから引用します。
勘違いされる前の発表写真の中では、開発者のオッサンが胸を張って誇らしげです。
もう「どうだ、オレ様の発明は!」みたいなびんびん匂ってきます。
(A様から高橋あてのメールより)
では、「勘違いされる前の発表写真」を見てみましょう。これは前述の「日本ロボット創世記」から。
なお、これ以降の写真の引用はすべてトリミングしてます。
![]()
〔高橋註:右の機械は 勘違いされる前のテレボックス〕
(「日本ロボット創世記」、井上春樹、NTT出版、63ページ)
たしかに、これ以上ないほどの自信に満ちた微笑と眼差し、
自分の開発した機械への思いが本当に伝わってきます。
では、勘違いされた後、テレボックスが前述のようなロボットとして発表されたときは
どうだったのでしょうか。
ロボット状態のテレボックスを、笛を吹いて操作するデモンストレーションをするウエンズレー氏の
写真が載った記事が、「日本ロボット創世記」にありました。
…まぁ、どうぞご覧下さい。
![]()
〔高橋註:左に見える腕のようなものは 勘違いされた後のテレボックス〕
(「日本ロボット創世記」、井上春樹、NTT出版、75ページ)
…ウエンズレーさんっ!!発表の場なんだから
たのむからそんな落ち込まないで下さい!!!
いや、その、確かにあのような、先行者にも及ば…、い、いや、先行者をも凌ぐような…というか…
ああゆう外見にされてしまったのはお気の毒ですが……何と言うか…ホラ…
「そうか…それほど辛かったのかウエンズレー…」と励ましたくなるほどの落胆振りです。
(頭抱えて下向いちゃってます。)
↓拡大図
■使用前■
![]()
■使用後■
![]()
(「日本ロボット創世記」、井上春樹、NTT出版、63, 75ページ)
顔の部分のみ拡大してみると、落胆振りが更にはっきりするのがお分かりかと思います。
(前略)この話は今のヒューマノイドロボットにも当てはまるんだよ〜
ってことをいいたかったようです。つまり、ASIMOやSDR-4Xみたいな未来っぽい
ロボットを見てもあんまり過剰な期待を寄せるな、と。ちょうどtelevoxに期待を寄
せたようにね。確かに周囲の過剰な期待は、期待の対象をしばしば歪めてしまうこと
がありますね。
(中略)ASIMOは5年二足歩行ロボットの歴史の針を早めてしまったわけで、
ASIMOを部分的じゃなくて超越するようなロボットはあと10年くらいはでないんじゃ
ないかみたいなことをおっしゃってました。〔高橋註:これは、A様の仕事での関係者の方がA様に言ったお言葉のようです〕
(A様から高橋あてのメールより)
上記の、A様のメールにあるとおり、なにごとも過剰な期待はよくない…ということなのでしょうか。
(この場を借りてA様に、貴重な情報を教えてくださったことに感謝いたします。
ありがとうございました。)
「日本ロボット創世記」は、東京広尾の「東京都立中央図書館」で見ることができます。
(1993年あたりに出た本ですが、絶版になったようなので…)
学習漫画indexへ戻る レビューindexへ戻る topへ戻る
文責:高橋 雅奇